使える弁証法

                         田坂 広志 著 

 

ヘーゲルが分かればIT社会の未来が見えると表紙にあるが読んで納得。コーチ業は止揚することにあるのかもしれないと考えさせられた一冊。また、弁証法のスケールの大きさと、いつの時代であっても使えるということを再認識した。

序話 なぜ調査や分析をせずに未来が見えるのか

哲学的思索=森全体を見るための最も優れた方法→弁証法→洞察力、予見力、対話力が身につく

第一章 弁証法は役に立つ

第一話 弁証法は日々の仕事に役に立つ

弁証法のただ一つの法則を知っているだけで十分

第二話 弁証法において最も役に立つ法則

「螺旋的発展」の法則→物事が発展するとき直線的ではなく螺旋的に発展する→進歩発展と復活復古が同時に起こる

第三話 世の中の螺旋的発展を引き起こした革命

ネット革命→オークション、逆オークション→合理化(非効率なビジネスモデルの消滅)

第四話 単なる復活や復古ではない螺旋的発展

ギャザリング(集団購入)→何が進歩、発展したのかを考える

第五話 これから懐かしいものが復活してくる

コンシェルジュ・サービス→御用聞きの復活

Eラーニング→自律学習のシステム→寺子屋

電子メール→「文」の文化

ボランティア(助け合い)の文化→ナレッジ・コミュニティ

第六話 未来進化と原点回帰は同時に起こる

便利になった懐かしいもの→進化=不連続的な飛躍

書籍の進化→電子ブックに向かうが、百年先も紙の書籍は残る→多様化

贈与経済→交換経済→貨幣経済→ボランタリー経済(リナックス)

第七話 なぜ、この時代に螺旋的発展が起こるのか

個人で螺旋的発展は起こっていても見ることができなかった→変化が遅くわからなかった→人生の長さに比べて世の中の変化が速くなった→局所的変化から螺旋的発展へ

第八話 日常生活で螺旋的発展を目撃する時代

ビジョンや戦略の陳腐化が問題になる→予測が当たらなくなる→書を捨てて街に出よ→何が懐かしく、何が便利になったかを考える

第二章 弁証法をどう使うか

第一話 消えたものは必ず復活してくる

何が復活するか→何が消えていったかを見る→なぜ消えていったかを考える→どうすれば復活できるかを考える

第二話 消えたものには意味がある

存在するものは合理的→存在する意味がある→消えていったものの意味を考える

第三話 復活では必ず価値が付け加わる

新しいものを古い眼鏡で見る過ち→いかなる形で新たな価値が付加されるか=新しい眼鏡でみる

第四話 現在の動きは必ず反転する

機能ではなく動きの視点から見る=反転=トレンドとリバウンド→否定の否定による発展→超越する→価格競争から品質競争へ向かう

言葉で表せる知識から表せない知恵に変わる→スキル、センス、テクニック、ノウハウ

世の中の変化は振り子のように動く→ハイテクはハイタッチへ向かう→陽極まれば陰、陰極まれば陽

第五話 主戦場はどこに移るか

次の主戦場を考えて戦略を立案→ネット革命の本質は進化=企業中心から顧客中心→中間業者の進化(新しい中間業者は顧客の方を向いて購買代理)→先回り戦略

第六話 主戦場はいつ移るか

時期を具体的に予測する方法はない→移行する可能性を判断できる→量から質への転化により発展する(量が増大し、一定の水準を超えると質の変化が起こる)

第七話 主戦場の移行をいかに早められるか

量から質への変化→①商品の価格を一定水準より下げる②ユーザー数が一定水準を超える→キーワードが忘れられたかが目安

第八話 対立するものは互いに似てくる

対立物の相互浸透により発展する→両者を内包した統合が起こる

第九話 世の中の矛盾にこそ意味がある

矛盾の止揚により発展する→矛盾とは物事の発展の原動力→矛盾のマネジメント=割り切らない→止揚する=両者を肯定し、包含し、統合し、超越することによって、より高い次元のものへと昇華していくこと→振り子を振りバランスをとる

第三章 弁証法で身につく力

第一話 弁証法を知ると対話力が身につく

対話をするだけで自然に思考が深まっていく→正(テーゼ)、反(アンチテーゼ)、合(ジンテーゼ)による思考の深化

第二話 弁証法を知ると歴史観が身につく 歴史もまた螺旋的に発展していく→東洋文明と西洋文明が統合した新しい文明へ

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