人生を変える80対20の法則

                 リチャード・コッチ 著 仁平和夫/高遠裕子 訳 

 パレートの法則については、イタリアの経済学者であるヴィルフレド・パレートが発見した冪乗則ということぐらいは知っていました。全体の数値の大部分は、全体を構成するうちの一部の要素が生み出しているというもので、ご存じの方も多いと思います。

 この法則はずいぶん以前からあり、そこから経済のみではなく多方面に応用が進んでいることがこの本を読んでよくわかる内容でした。特に第Ⅳ部はコーチングにも使えるし、個人的にもこれからの人生で是非にも使おうと決めました。

80対20のラップ

80対20の法則=原因、投入、努力のわずかな部分が結果、産出、報酬のかなりの部分をもたらす=アウトプットのほとんどはインプットのごく一部から生まれる

努力の5分の4は実らないもの→ほとんどが無駄→不均衡がありその割合が80対20

第Ⅰ部 80対20の法則―概要

第1章 80対20の法則へようこそ

決定的に重要な少数と取るに足らない多数の差→原因を一つに特定するのは難しく複雑に絡み合っている→原因と結果の関係は曖昧

カオス理論=無秩序の背後に自己組織化の論理、予測可能な非線形の論理→不均衡の法則→世界は直線的ではない(非線形テスト:原因の20%が結果の80%につながっているか、ある現象の80%は関連する現象の20%しか関係がないのかどうか)→フィードバックループが均衡を歪め乱す(最初はごく小さな動きだったものが、次第に影響力を増していき最後には予想もできなかった結果をもたらす)→発火点→早い者勝ち(初期値に対する鋭敏な依存性)→世界は均衡を嫌う

80対20分析=原因と結果を比較する

80対20思考=ざっくりした直観的なもので心構えと習慣からなる→切実な問題は何か、それを起こしている重要な原因は何かについて仮説を立てる→優先順位を組み替えて生活を改善する

第2章 80対20の法則の考え方

あくせく働いても働く場所を間違えると流した汗は報われない→入力より出力に注意を払うべき

80対20分析=比較可能な二つのデータの関係を検証する→一方のデータは人や物の集合で通常データ数は100以上で百分率で表すことができる もう一方のデータはその人や物の興味深い特徴に関するデータで百分率で表すことができる

不均衡が大きいほど興味深く、データの利用価値は高まる→分析対象の関係を変える、関係をうまく利用する→誰もが注目している変数ではなく、多くの人が見過ごしている非線形の関係に目を向ける→時間の経過に伴う変化を考慮していない

第Ⅱ部 企業成功の奥義

第3章 隠れたカルト

原因と結果は曖昧、複雑なフィードバックループで入力が歪められ均衡は束の間の幻

同じようなパターンが繰り返されながら不規則性がある

第4章 あなたの戦略はなぜ間違っているか

収益を点検するには競争の性質で分類するのがベスト

第5章 シンプル・イズ・ビューティフル

複雑化のコスト(間接費や初期コスト)により売上を伸ばしながらも利益率が低くなっている現実がある→規模拡大のメリットより複雑化のデメリットが上回っている→シンプルはつねにビューティフル→やることが少ないほどいい→単純化→取るに足らない多数と決定的に重要な少数との綱引き

第6章 良い顧客をつかまえる

顧客重視は諸刃の剣→生産主導とマーケティング主導のやり方を統合し、収益性の高いマーケティングと顧客に的を絞る(ごく少数の正しい顧客に的を絞る)

第7章 80対20の法則が使えるビジネストップ10

重要な決定は20に1つくらいしかない→もっとも重要な決定は自分が知らないうちに方向が決まっていることが少なくない→正しい問いを発する

プロジェクト管理→目的を単純化→不可能な期限を設定→走り出す前に考える(実行時間に対して計画時間が突出して長い)

第8章 成功に導く決定的に重要な少数

つねに多数より少数の方がはるかに重要→進歩とは価値の低いものから価値の高いものへと資源を移すこと→大きな勝利はすべて小さな勝利から始まる

第Ⅲ部 楽して稼いで楽しむ

第9章 自由であること

80対20思考の目的は自分の生活も他人の生活も劇的に改善する行動につなげること

内省的に始める→希少な宝石のようなヒントをつかむ→行動するときは目標を徹底的にふるいにかけ一番大切なことに的を絞る→必要最小限の資源で最大限の成果をだす→間違っている常識、無駄、最適でないものをみつけだす→日常の中でそれを改めていく

快楽を追求する→生は死に勝てない→他人を助けるための必要条件

良いことも悪いことも何が原因で起こるのかはわからない→重要な決定は数えるぐらい→いつでも選択の余地はある→自分の人生でこれだけはやりたいということを考える→自分が幸せな環境を思い浮かべる→その環境をどうすればつくれるかを考える

悠然とかまえて大きな夢を描く→偉業のほとんどはたゆまぬ努力と一瞬のひらめきが組み合わされて生まれている

〇成果と幸福の80%は時間の20%で起こる

〇重要なターニングポイントに氣づき自分が幸せを感じられる選択をすることで人生は劇的に変わる

〇敗北の大半は他人から強制されて参加したレースで起こる

〇数少ない盟友を慎重に選び固い同盟を結んで目的を達成する

〇今日使わない幸せが明日の幸せになるわけではない

第10章 時間革命

時間はあり過ぎる→時間の使い方と時間に対する考え方が問題

〇やっていることのほとんどは価値が低い

〇時間の20%を有効活用するだけで時間が足りないということはなくなる

成し遂げたことや幸福がそれにかけた時間と見合っているのかを自分に問う

時間は過去と現在と未来をつなぐもの

①努力と報酬は別物と考える→他人のために懸命に働くことは自分が望んでいるものを手に入れる効果的な方法ではない→自分の心に耳を傾けて本当にやりたいことをやれば見返りは大きくなる(生産的な怠け者)

②罪悪感を捨てる→価値あるものは自己実現によってしか生まれない

③押し付けられた仕事から自分を解放する

④常識にとらわれず柔軟に時間の使い方を考える

⑤80%を与えてくれる20%が何かをみつける→目指すものは仕事の成果なのか、それとも幸せなのかを明確にして分けて考える→わずかな時間で普段の何倍もの幸福を味わえることは何か(幸福の島に幸福の時を書き出してみる、不幸の島に不幸の時を書き出してみる)→共通点がないか考える→仕事についても同じ手順でやる(達成の島と達成の砂漠)→幸福の島と不幸の島の間にまずまずの幸せという海が広がっている

⑥80%を与えてくれる20%に使う時間を増やす→短期目標は価値の高い活動に使う時間を20%~40%に増やす

⑦つまらないことはやめる

第11章 望むものは必ず手に入る

これまでやり遂げたことの80%が努力の20%から生まれたかどうか考えてみる→20%についてじっくり考えてみる

今後これができたら誇らしいと思うことを、他人より楽々とできることは何だろうか→同じことをやる人が100人いるとしたら、そのうち80人が費やす時間の20%で自分ができることは→簡単に思えることに集中すること→他人よりうまくできること、自分がいちばん楽しめる数少ないことに全力をあげる

第12章 友人のちょっとした手助け

大切な20人のリストをつくる→持ち点が100点ならば上位4人(20%)に得点を集中する→大切な人との関係を深める

村理論=人は誰しも頭の中に村を持っていて定員がいっぱいになるとそれ以上村人を増やせない

協力者の力を借りずに歴史の方向を変えることができた人間いない→ほんとうに力になってくれる味方は6人程度→目上、師を1~2人 同等に付き合う人を2~3人 後輩として面倒をみる人を1~2人

第13章 賢い怠け者

怠惰で無能は害にはならない 勤勉で有能は参謀にむいている 勤勉で無能はクビにする 有能で怠惰を最高位につけるとよい

小さな隙間に特化し、これだけは誰にも負けないという能力を磨く→自分が楽しむことができる第一人者になれる確率の高い隙間を選ぶ→知識は力、多少ではダメで少なくとも一つのことについては誰よりも知っていると言えるようになる→自分の市場、核になる顧客をみつけて最高のサービスを提供する→80%の成果をもたらす20%の努力は何か

超一流の人から学ぶ→その人がやっていることをよく見ていれば大体のことはわかる

価値を創造できる人材をできるだけ多く雇う→核になるもの以外はすべて外部委託

第14章 マネーマネーマネー

自分の性格に合った投資方針を決める→目標を定め投資を集中する→株式中心→長期的に投資→底値で買う(PER12以下)→市場平均を上回ることができないなら市場平均並みを狙う(インデックス投資)→自分の専門知識を活かせる分野に投資→新興市場のメリットを考える→早めに損切り(買値から15%下がったら)→儲けを再投資

第15章 幸福になるための7つの習慣

人間は不確定な本性なので自分で変えることができる→自分に対する見方を変える→自分は幸せになると決める→人はつねに自分の物語りを生きている→客観的な真実などどこにもない

できごとを変える→毎日顔を合わせる人を変える→不快なものを避ける

幸福になるための習慣

1.運動 2.知的な遊び(頭の体操) 3.こころの刺激 4.他人への親切 5.友人との息抜き 6.自分をもてなす 7.自分を祝福する

幸福になる中期的戦略

1.自分の人生を最大限コントロールする 2.達成可能な目標を立てる 3.ものごとに柔軟に対応 4.ご機嫌なパートナーをみつける 5.ごく少数の幸せな友人との関係を大切にする 6.仕事でも一緒にいて心地いい強い味方をつくる 7.理想のライフスタイルを追求する

第16章 隠れた友達(潜在意識、無意識)

潜在意識が脳全体の約92%を占める→潜在意識は一度にたくさんのことができる→潜在意識の記憶はほぼ無限だか顕在意識で思い出すのは一部のみ→潜在意識は情報をふるいにかけず正しいものとして受け止める→ほんとうに氣になることは潜在意識に伝わる→顕在意識と潜在意識の間には相互に影響を与え合うフィードバックループが存在する

意志力(ウィル・パワー) 意志は顕在意識だが、パワーを持っているのは潜在意識

目標とは自分の運命→潜在意識にとって時間は存在しない→潜在意識にとって現実は想像である→潜在意識からみることで未来を現在に変え、創造を現実にすることができる

第Ⅳ部 80対20の法則の未来

第17章 80対20のネットワークで成功する

都市は坩堝→世界中の意欲的で有能な人材が集まる→多様性によりイノベーションが起きやすくなる

同じカテゴリーで同規模のネットワークが併存するのは難しい→一つか二つに収斂

第18章 80対20が90対10になるとき

ネットワークの本質は市場の二つ以上のプレーヤーを結び付け双方にとっても自社にとっても有利になるよう市場を編成していく点にある→パイプラインからプラットフォームへの移行

第19章 80対20の法則と未来とあなたの居場所

努力が報われるとともに不要になっていく世界→不安定であることを前向きに受け止め行動することによってのみ安定を確保できる世界→材料はすでに揃っているが最終製品には

なっていない

ヒント 1.働くならネットワークで 2.小規模で高成長(従業員100人未満で売上が最低でも3割増) 3.働くなら80対20の上司のもとで 4.80対20のアイデアをみつける 5.ご機嫌で役に立つ変わり者になる

自分の行動と自分が何者であるかが一致する

第Ⅴ部 80対20の法則の検証

第20章 80対20の法則の二面性

制約理論→ボトルネックとなる少数の原因(たいてい一つの原因)に集中する

時間と労力の新しい配分

人生を豊かにするもの(領域)に20%のアプローチ

効率が重要なもの20%にアプローチ 進歩に必要なものは不当な要求(ジョージ・バーナード・ショー)

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です